• 2026年9月14日
  • 2026年8月31日

痔瘻・複雑痔瘻とは?手術の方法と専門医が行う根治治療の流れを解説

「おしりに繰り返し膿がたまる」「自然に穴が開いて膿が出てくる」——そのような症状が続いているなら、痔瘻(じろう)の可能性があります。痔瘻は自然に治ることがほとんどなく、手術が治療の基本となる疾患です。とはいえ、「どんな手術をするの?」「入院は必要?」「複雑痔瘻と言われたけどどういう意味?」と疑問や不安を抱える方は多いのではないでしょうか。

この記事では、痔瘻・複雑痔瘻の原因・分類から、主な手術方法・術後の注意点まで、専門医の視点からわかりやすく解説します。肛門外科の受診をためらっている方にもお役立ていただける内容です。

痔瘻・複雑痔瘻がどんな病気か、なぜ手術が必要かがわかる
主な手術方法(切開開放術・くり抜き術・シートン法など)の特徴がわかる
専門医を受診するタイミングと受診前に知っておくべきポイントがわかる
この記事の目次
▸ 痔瘻って何?「おしりに穴が開く」病気の正体
▸ 複雑痔瘻とは?痔瘻の分類を専門医が解説
▸ 痔瘻・複雑痔瘻の主な手術方法と特徴
▸ 痔瘻・複雑痔瘻の手術後に知っておきたいこと
▸ 浅草胃腸肛門クリニックの痔瘻・肛門科への取り組み
▸ よくあるご質問
▸ まとめ

痔瘻って何?「おしりに穴が開く」病気の正体

痔瘻(じろう)とは、肛門の内側にある「肛門陰窩(こうもんいんか)」と呼ばれる小さなくぼみに細菌が入り込み、肛門周囲に膿のたまりができる「肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)」が起点となって発症する病気です。膿瘍が自然に、あるいは外科的に排膿されたあと、肛門の内側と皮膚の間にトンネル状の管(瘻管)が残った状態を痔瘻といいます。

痔瘻の典型的な症状とサイン

痔瘻になると、肛門の周囲が繰り返し腫れて痛んだり、皮膚に穴が開いて膿や分泌液が出続けたりします。一時的に症状が落ち着いても、瘻管(トンネル)が残っている限り再び炎症を起こすため、「治ったと思ったらまた腫れた」というサイクルを繰り返しやすいのが特徴です。

  • 肛門周囲の痛み・腫れ・熱感
  • 皮膚から膿や血液まじりの分泌物が出る
  • 座るのがつらい

「膿が出てきた」という経験がある方は、痔瘻に移行している可能性がありますので、早めに肛門外科専門医へご相談ください。

痔瘻は放置するとどうなる?よくある誤解

「時間が経てば自然に治るのでは?」と思っている方が少なくありませんが、これはよくある誤解です。痔瘻の瘻管は自然に消えることはなく、放置すると瘻管が複雑に枝分かれしたり、肛門周囲の組織がより広範に障害されたりして、治療が難しくなる場合があります。また、まれにではありますが長期間放置することで悪性化するリスクも指摘されています。症状が軽くても、専門医による診察・治療を受けることが大切です。

痔瘻になりやすい方の特徴

痔瘻は成人男性に多い疾患とされていますが、女性や若い世代にも発症します。下痢が多い方、免疫が低下している方(糖尿病など基礎疾患のある方)、クローン病などの炎症性腸疾患がある方は痔瘻を起こしやすいとされています。原因をしっかり把握するためにも、消化器内科・肛門外科での総合的な診察が重要です。

複雑痔瘻とは?痔瘻の分類を専門医が解説

痔瘻は瘻管(トンネル)の走り方・深さ・複雑さによっていくつかの型に分類されます。治療方針を決めるうえで、この分類を理解しておくことが助けになります。

Point 01
痔瘻の分類——1型〜4型の4つに分かれる

瘻管が肛門の筋肉(括約筋)との関係でどの位置を通るかによって、皮下痔瘻(1型)・筋間痔瘻(2型)・坐骨直腸窩痔瘻(3型)・骨盤直腸窩痔瘻(4型)の4つに分けられます。数字が大きくなるほど瘻管は深く、治療の難易度も上がる傾向があります。

Point 02
複雑痔瘻の定義——「治療が難しい痔瘻」の総称

複雑痔瘻とは、瘻管が括約筋の高い位置を通る、枝分かれが多い、あるいは複数の内口・外口を持つなど、手術の難易度が高い痔瘻の総称です。具体的には3型・4型の痔瘻や、蹄鉄型(ていてつがた)痔瘻(肛門の左右に瘻管が広がるもの)、クローン病に伴う痔瘻などが含まれます。複雑痔瘻は肛門括約筋を温存しながら瘻管を処理する必要があるため、経験豊富な専門医による治療が求められます。

Point 03
痔瘻の診断方法——視診・触診・画像検査で確認

痔瘻の診断は、肛門の視診・触診に加え、肛門鏡による内口の確認が基本です。複雑痔瘻が疑われる場合にはMRI検査や超音波検査によって瘻管の走行を詳しく把握します。正確な診断が適切な治療方針の選択につながるため、専門医による精密な評価が重要です。

痔瘻・複雑痔瘻の主な手術方法と特徴

痔瘻の手術は「瘻管を取り除く」ことが目的ですが、どの方法が適切かは痔瘻の型・深さ・括約筋への影響によって異なります。ここでは代表的な術式を一般的な医学知識としてご紹介します(いずれも個人差があります。担当医とよく相談のうえで方針を決めましょう)。

当院での手術についてのご案内

浅草胃腸肛門クリニックでは、日帰り手術・短期入院手術を行っておりません。診察の結果、痔瘻の手術が必要と判断された場合は、本院である寺田病院をご紹介し、そちらで手術・入院を行っていただく体制となっています。以下でご紹介する術式は一般的な治療選択肢であり、実際にどの方法が適用されるかは寺田病院での診察・検査を経て判断されます。

① 切開開放術(Lay-open法)

瘻管を切開してそのまま開放し、創を自然に治癒させる方法です。根治性が高く、比較的浅い痔瘻に適した標準的な術式とされています。再発率が低い反面、括約筋を一部切断するため、深い痔瘻に用いると肛門機能への影響が懸念されます。術後は創の治癒に数週間〜数ヶ月を要することがあります(個人差があります)。

② くり抜き術(Core-out法・瘻管切除術)

瘻管を管状にくり抜いて切除する方法です。内口を確実に処理しながら周囲の正常組織を残せるため、括約筋機能の温存を重視した場合に選択されることがあります。複雑な走行の瘻管にも対応しやすい一方、切除範囲や縫合の判断に専門的な技術が必要です。

③ シートン法(Seton法)

瘻管に糸(シートン)を通し、少しずつ締めながら括約筋を徐々に切断する方法です。複雑痔瘻や深い痔瘻でも括約筋機能を温存しやすい点が特長です。外来通院で処置を重ねながら進められるケースもあり、入院期間を短縮できる場合があります。ただし治療期間が数ヶ月に及ぶことも多く(個人差があります)、経過管理がしっかりできる専門施設での治療が望まれます。

括約筋機能を温存しやすい
複雑・高位痔瘻にも対応可能
段階的に処置を進めるため体への負担を分散できる
外来通院で治療できるケースもある
シートン法の注意点

・治療期間が長くなる場合がある(個人差があります)
・糸を締める処置に多少の不快感を伴う場合がある
・定期的な通院が必要
・すべての症例に適用できるわけではない

④ 入院・手術期間の目安

寺田病院では、適応のある方に日帰り手術・短期入院手術(術後1〜6泊入院)を行っています。痔瘻手術に必要な入院期間は術式・病変の複雑さ・患者さんの状態によって異なり、複雑痔瘻ではこれより長い入院が必要になることもあります(いずれも個人差があります)。担当の専門医と十分に相談のうえ、治療計画を立てることが大切です。

ご注意ください

痔瘻の手術は術式・術後管理・施設の経験値によって治療成績が大きく異なる疾患です。特に複雑痔瘻は日本大腸肛門病学会専門医など、肛門疾患の専門的なトレーニングを受けた医師のいる施設での受診をご検討ください。自己判断での処置や市販薬だけでの対処は症状を悪化させる可能性があります。

痔瘻・複雑痔瘻の手術後に知っておきたいこと

手術を受けた後も、適切なセルフケアと定期受診が再発予防と回復の鍵になります。

術後の創ケアと日常生活の注意点

術後は創を清潔に保つことが大切です。排便後はシャワーや温水洗浄で肛門周囲を優しく洗い、清潔な状態を維持しましょう。入浴については担当医の指示に従ってください。下痢・便秘を繰り返すと創への刺激になるため、食事内容(食物繊維を多く含む食事・十分な水分摂取)にも気を配ることが望まれます。

長時間の座位や重い物を持つ作業は創への負荷が増すことがあるため、回復期間中は無理のない生活を心がけてください(回復期間は個人差があります)。

術後の痛みや出血が気になる場合

術後しばらくは排便時に痛みや少量の出血を伴うことがあります(個人差があります)。ただし、出血量が多い・強い痛みが続く・発熱がある・膿の再排出があるといった場合は、速やかに担当医へご連絡ください。異常の早期発見が術後管理の重要なポイントです。

再発を防ぐための長期ケア

痔瘻は術式・手術の精度・術後管理・患者さん自身のコンディションなどによって再発の可能性があります。特にクローン病に伴う痔瘻は再発率が高いとされており、基礎疾患のコントロールを並行して行うことが重要です。定期的な術後フォローアップを怠らず、少しでも気になる変化があれば早めに専門医に相談する習慣をつけましょう。

浅草胃腸肛門クリニックの痔瘻・肛門科への取り組み

東京都台東区花川戸にある浅草胃腸肛門クリニックは、寺田病院のサテライトクリニック(分院)として、胃腸・肛門疾患に特化した診療を行っています。肛門疾患でお悩みの方が専門医に相談しやすい環境づくりを大切にしています。

  • 日本大腸肛門病学会専門医・指導医による肛門科専門外来:毎週木曜、田中肛門科部長(第1・3・5週)と寺田院長(第2・4週)が交代で診療を担当しています。高度な肛門専門医療をクリニックで相談できます。
  • 寺田病院との密な連携:本院である寺田病院と連携し、複雑痔瘻など入院・手術が必要なケースもグループ内でスムーズにご紹介できる体制を整えています。
  • 毎週火曜はレディースデイ(女性専用外来):医師・スタッフ全員が女性で、男性の立ち入りも禁止した完全女性専用の環境で、肛門疾患の悩みを話しやすい配慮をしています。
  • 浅草駅から徒歩1分のアクセス:東京都台東区花川戸の立地で、通いやすい環境を整えています。

院長 佐藤 兼俊 より

「痔瘻・複雑痔瘻は『恥ずかしい』『まあいいか』と放置されがちですが、放っておくと瘻管が複雑になるなど、治療がより難しくなる場合があります。『おしりが繰り返し腫れる』『膿が出てくる』という症状があれば、ためらわずにご相談ください。当院で手術が必要と判断した場合は、本院である寺田病院と連携し、患者さん一人ひとりに丁寧に向き合いながら、安心して治療を受けていただけるよう努めてまいります。」

よくあるご質問

Q 痔瘻は手術しないと治りませんか?
A 痔瘻の瘻管(トンネル)は自然に消えることがほとんどなく、根本的な治療には手術が必要とされています。抗生物質などで一時的に炎症を抑えることはできますが、瘻管が残っている限り再発を繰り返す可能性があります。シートン法のように段階的に進められる方法もありますので、まずは専門医に相談して、ご自身の病態に合った治療方針を確認することをおすすめします。
Q 複雑痔瘻の手術は必ず入院が必要ですか?
A 複雑痔瘻の手術は、その難易度・範囲・術式によって異なります。当院では日帰り手術・短期入院手術を行っておらず、手術が必要と判断した場合は本院である寺田病院をご紹介します。寺田病院では適応のある方に日帰り手術や短期入院手術(術後1〜6泊入院)を行っていますが、複雑な症例ではこれより長い入院が必要になることもあります(個人差があります)。どの術式が適切か、入院が必要かどうかは、精密な診断のうえで専門医が判断します。まずは当院にご来院いただき、詳しく状態を確認させてください。
Q 女性でも肛門外科に行きやすい環境がありますか?
A 浅草胃腸肛門クリニックでは毎週火曜日を「レディースデイ(女性専用外来)」として設けており、医師・スタッフ全員が女性で対応します。男性の立ち入りも禁止した完全な女性専用環境で、肛門疾患や消化器の悩みを遠慮なくご相談いただけます。「肛門の悩みを話すのが恥ずかしい」という女性の方にも、ぜひ安心してご来院いただければと思います。

この記事のまとめ

痔瘻は肛門周囲膿瘍を起点に生じるトンネル状の管(瘻管)で、自然治癒はほとんど期待できず手術が基本となる
複雑痔瘻は瘻管が深く・複雑で治療難度が高く、括約筋の温存を考慮した術式選択が重要
主な手術法には切開開放術・くり抜き術・シートン法があり、病態に応じて専門医が判断する
当院は手術・入院を行っておらず、必要な場合は本院・寺田病院と連携してご紹介する体制です
「繰り返し腫れる・膿が出る」症状は放置せず、肛門外科専門医への受診を早めに検討しよう

おしりのお悩み、一人で抱えないでください

浅草胃腸肛門クリニックは、東京都台東区花川戸・浅草駅徒歩1分。日本大腸肛門病学会専門医による肛門科専門外来を毎週木曜に開催しています。痔瘻・複雑痔瘻のご相談はお気軽にどうぞ。火曜はレディースデイで女性の方も安心してご来院いただけます。

WEB予約はこちら
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03-3845-7800

〒111-0033 東京都台東区花川戸1-2-4 丸善ビル7F 東京メトロ銀座線・東武スカイツリーライン「浅草駅」徒歩1分

【診療時間】午前 9:30〜12:00/午後 16:00〜18:00(大腸内視鏡検査は予約制14:00〜16:00・火曜は女性専用外来・木曜は肛門科専門外来)|休診:日曜・祝日

監修医師プロフィール

著者写真

佐藤 兼俊(さとう かねとし)(院長)

平成10年3月 三重大学 医学部 卒業
平成10年4月 天理よろづ相談所病院勤務
平成12年4月 国立国際医療研究センター 外科勤務
平成15年4月 三井記念病院 外科勤務
平成17年9月 アメリカボストンにあるベス・イスラエル・ディコネス・メディカルセンターで研究に従事
平成19年9月 三井記念病院 外科勤務
平成20年2月 東京逓信病院 外科勤務
平成29年5月 浅草胃腸肛門クリニック院長に就任

資格・所属学会:日本外科学会、日本消化器内視鏡学会

※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき、監修のもと作成しています。治療の効果・費用・期間には個人差があります。詳細は必ず医師にご確認ください。

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